社員の成長を促す上では、ジェネレーションギャップが弊害になることが多々あります。厳しく育てるだけでは成果が上がらない昨今、コーチング型のアプローチを強くおすすめしております。
一般的な社員 | 自発的に問題解決する リーダーに成長 |
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二代目経営者 | 「自分の会社」としての 意識と責任感を醸成 |
厳しい教育方法だけでは、なかなか人が伸びない時代となっています。成長したい、という意欲が湧いてくる環境が重要だと痛感しています。
社員成長のスタートは「社員満足度を高めること」から始まります。話が逆行しているように感じるかもしれません。しかし、社員本人が前向きな気持ちになって初めて、成長のためのスタートを切ることができます。目指すは、社員自身が自ら発見できる人になること。そのほうがリーダーの負担も減りますし、人生を愉しむ余裕もできると思っています。
よく社員を甘やかすことだと勘違いされてしまいますが、そうではありません。あくまでも、ひとりでに成長する人になってもらうことが目的です。
社員の成長を促すための現代的なアプローチは、コーチング型の共育を行うことです。よくティーチング=教育・教えることと対比されます。コーチングはコーチする人が本人の自発性を引き出し伴走支援する方法で、教師となる人が一方的に教えるのとは根本的に考え方が異なります。
弊社が支援させていただくコーチング型の社員共育を行う上でのアプローチには、大きく分けて以下の5つのプロセスがあります。
1 | 関係をつくる | 相手の個性に関心を持ち、信頼関係を築く |
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2 | 気づきを促す | 質問で仕事上の重要な観点に気づかせる |
3 | 小さなゴール設定 | 本人が望む小さなゴールを設定し、伴走支援する |
4 | 評価基準をつくる | 特定の考えに偏らないフェアな基準で評価する |
5 | コンセプトの共有 | 目指す姿を言葉にし、押し付けず共有する |
そもそもの前提として、成長して欲しいと願う社員との間の信頼関係が重要です。コーチング型の社員共育では対話が非常に重要で、相手との関係が良いほど双方の意図や思い、考えがスムーズに伝わり合うからです。逆に、信頼関係が無い状態で何かを教え込もうとしても、なかなか伝わらない状態が続きます。
特に仕事の世界では、正しいこと、正論を教え込むことがベースになっているケースが多いと言えます。ですが、感情で納得できないことは、正論であっても飲み込めないのが人間です。相手の感情や気持ちを重視して、まずは信頼関係を築くことが最優先になります。
成長のためには、その人自身が新しい観点に「気づく」ことが第一歩になります。本人が気づくということが重要で、その観点について先輩にあたる人が直接答えを教えたとしても、同じ効果は得られません。このため、コーチングを行う人は、相手が気づくように促していくのが基本になります。
上記をご確認いただくと、一方的に「教える」のとは全く異なるアプローチであることが分かると思います。すべては「本人が気づく」ための仕掛けであることをイメージしていただければと思います。
コーチングの基本として「相手の現在位置から、1歩でも成長する」ことを繰り返していくことが重要です。自己成長が習慣になった社員は自発的に成長していくので、やがて手を離れます。それまでは大きすぎる目標は逆効果ですので、スモールゴールの連続、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要です。
ここでもとても重要なのは、「内発的動機づけ」であることです。上司が社員に課した課題やノルマ・目標は、いわゆる「外発的」。本人が望んで本人が設定した目標やゴールが内発的な動機となります。
信頼関係が築けたら、「何か課題に感じていることはある?」といった質問をできるようになります。最初は何も出てこないかもしれません。しかし、関係ができるほどに、気になっていることを話してくれるようになります。
本人が課題に感じていること、気になっていることをベースにしながら「ではまず◯◯をやってみよう。」といった形で小さなゴールを設定します。そしてそれを達成できた場合は、どんな初歩的な内容であったとしてもしっかり承認します。この繰り返しが、やがて自発的な成長につながっていきます。
日々のコミュニケーションとは違った観点で、成長するための環境づくりとして重要なポイントが「評価基準」です。
中小企業の場合、経営者と役員がその都度相談し、社員の昇給や賞与などをその場の流れで決めるケースは多いのではないでしょうか。しかし、ものさしとなる基準は明確にしておく必要があります。
その理由はまず、評価する基準が曖昧だと、社長の好みに左右されるのではないかといった憶測が生まれ、不信感につながる場合があるということ。そして、やはり経営者も人間なので常にブレずに同じ基準で評価することは難しく、社員にとってはフェアではないということです。
評価基準は全社員に公開し、共有します。公開することで、みんなが同じ観点で評価されているんだということが認識され、フェアな状況が生まれます。また社員としては「自分はどういう点を伸ばせばいいか」が明確になります。
どのような基準を作ればいいかは企業によって異なります。弊社では機械的な評価基準ではなく、会社ごとの生きた基準をご一緒に考えさせていただいております。
最後に、これが最も大きなテーマになりますが、「コンセプトを共有する」という点です。
会社が今後重視していく基本的な考え方を全社員に浸透させていき、そのコンセプトに基づいて徐々に行動してもらえるように促していくというものです。細かな仕事の方法ではなく、大きな考え方になるため、すぐに浸透させることは難しいと言えますが、社員間の認識のズレを埋め、同じ方向を向いて成長していくためには非常に重要な考え方になります。
京丹後市のホテル「KISSUIEN Stay & Food」では、同社のコンセプトを「京丹後のレセプションホテル」としました。旅行者や出張のビジネスマンにとって、京丹後市に訪れたときに最初に出会う人が、KISSUIENのスタッフであることも少なくありません。またKISSUIENは京丹後市という地域に根づき、地域性を大切にし続けているホテルです。これらのことから「京丹後市にお迎えする玄関口」としての意識を持ち、おもてなしの心、人間と人間の出会いを大切にする思いが込められています。
ほとんどの会社の社員は生まれも育ちも個性もバラバラ。その個性を大切にしながらも、みんなで共有できるコンセプトがあれば、全体としての動きに一貫性が生まれます。簡単なことではありませんが、一貫性のあるコンセプトを持った企業は非常に強いチームになります。。この考え方は「インナーブランディング」と呼ばれる領域の1つです。
弊社ではこれらの一連の動きを、方法論も含めてサポートさせていただいております。