2022年は、日本三景の1つ、丹後宮津の「天橋立」が、名勝として認定されてから100年、特別名勝として認定されてから70年の年です。その記念事業に総合的に使用されるシンボルマーク、ロゴタイプのデザイン制作事例です。天橋立を単純に図式化するだけでなく、その背景にある「天地の架け橋」というストーリーをビジュアルに起こしました。
天橋立はその地形の美しさ、珍しさから、景勝地として現在も多くの観光客が訪れる場所です。同地は古くから多くの歌人や作家の作品に度々登場し、文化芸術に大きな影響を与えてきました。その背景には、神秘的な伝説がいくつか伝えられています。
「伊射奈藝命(いざなぎのみこと)が天に通うために立てたはしご」であるという説、「龍神が土を盛り一夜にして創り出した」という説。さらにその景観の神秘性から「神仏の活躍する場所」、「信仰の架け橋、信仰の対象が具現化している場所」等、神仏との縁が深い存在として現在まで伝えられてきたのです。
こういった単なる景観の域を超えた存在感が、多くの芸術作品に影響を与えたことを総合的に捉え、単に対岸につながっている砂州という地形だけにとどまらない「天地をつなぐ信仰の架け橋」を概念化し、表現しました。
デザインの現場では、特徴的な部分、本質的な部分を抜き出して強調し、記号としてまとめることで人々の記憶に残すという手法がとられることがあります。本案件でも、名勝100年、特別名勝70年という象徴的な数字を抜き出して記号化することで、100周年、70周年というタイミングをより印象づけることを目的としています。
また、2022年限定のロゴだと期間限定で使用できなくなってしまうことから、2023年以降は100・70の数字部分を外せば、恒久的に使えるマークとなるよう配慮しています。
企画・コンセプト設計/ストーリー設計
シンボルマーク・ロゴタイプ制作