アイデンティティブランディング

苦しみを超えた希望。書道家 高岡亜衣様

苦楽一対に生き、美と狂気で表現する。京都に拠点を置き、世界で活躍される書道家 高岡亜衣(たかおかあい)様のウェブサイトリニューアル事例です。書道家としての作品はもちろんのこと、本案件の最大のコアは「精神性をいかに表現するか」でした。

目に見えない精神世界をどう表現するか

亜衣先生のウェブサイトを制作させていただくのは、実はこれで3度目になります。年月が経つにつれ、当然のことながら先生ご自身も進化し続けておられます。つまり、ただリニューアルすればいいというものではなく、今の、そしてこれからの書道家 高岡亜衣にふさわしいものでなければなりません。
そこで最大の課題になったのは、「亜衣先生の精神世界をどう表現するか」ということでした。

書道は、筆で文字などを書けば、それは目に見える作品になります。しかし、そこに込められた魂は、決して目に見えるものではなく、感じることでしか存在を確かめられないものです。それを、どのようにウェブで伝えるかは難しい課題でした。

さらけだす

亜衣先生のパートナー/事務所社長の方針もあり、今回のリニューアルの前提に「さらけだす」というキーワードがありました。亜衣先生は作品制作をする際、アトリエにこもって、体じゅう墨だらけになって書く、とのこと。
格好をつけていてはいけない。あるがままをさらけだそう。これが今回のコンセプトの1つです。そして、あるがままをさらけだすということ自体が、亜衣先生の精神世界に触れるきっかけになるのではないかと考えました。

当初、それを写真で表現するつもりでした。しかし、どうにも伝わり方が弱いと感じました。私は撮影を繰り返す中で、重要なのは書を墨だらけになって書くという結果ではなく、その動作、息遣い、発する「気」のほうが重要なのだと思うようになりました。
そこで私は撮影中に、表現を動画に切り替えることを考え、亜衣先生の書の制作をスーパースローで撮影。亜衣先生が息んださまを表現しようと考えました。
トップページにはそのスロー動画と、いくつかの亜衣先生ゆかりの地のロケ動画を含めたムービーを採用し、亜衣先生自ら開発されたご自身の「花押」を象徴的に見せています。

苦しみと楽しみがセットである

もう1つの重要な気づきが、「苦楽一対」という概念でした。亜衣先生はある時「苦しいことも楽しいことの1つ」とおっしゃられました。作品を生み出すことは、とても苦しいこと。しかし、それが楽しいことでもあるというのです。
私はここに、亜衣先生の精神性があると思いました。通常であれば、ウェブサイトなどの情報発信の世界では、想い、希望や美しさなど、プラスの面を表現することが多いのです。その点はもちろんですが、「苦しみが前提にある」ということを欠いてしまっては、もはや高岡亜衣とは言えない、と感じるようになりました。その苦しみが爆発を産み、強い作品が生まれくるのだろうと。

このことに気づいたことから、私はサイト全体のトーンを無理に明るくきれいにすることをやめ、ダークな色合いの中にも、優しさや希望、勇気や美しさを感じることを意識するようになりました。トップページには「この生き苦しい世界。苦しみを超えた希望」という、亜衣先生の生き様を表す文を添えています。

これらのコンセプトを踏まえ、今回のサイトでは書道家としての「作品」に重きを置き、過去の作品も含め、作品一覧を見れば高岡亜衣の進化の過程が見える、ということを念頭に置き、制作しております。

実施内容

企画・コンセプト設計/ブランディング企画
取材・分析/キャッチコピー開発
写真・動画撮影・編集/文章原稿作成
ウェブサイトデザイン/コーディング
作品登録システム制作

ウェブサイト

https://takaoka-ai.com/

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