不動産の企画開発から建設、管理、運営に至るまでをグループ内で完結できる大阪市の不動産の総合グループ「KSグループホールディングス」様のウェブサイト制作事例です。ホールディングスという会社の性質と位置づけから、細かな事業内容よりも、グループ全体の理念、姿勢、考え方、コンセプトを軸としたサイトになります。
本サイトの制作にあたっては、事業推進の中心であった会長のお考えがベースにありました。私たちは会長のお話をお聞きし、さらに、会長が出版されていた本を拝読する中で、不動産という業種の存在意義が再定義されたような想いでした。
会長のお考えで印象的だったのは、まず、不動産とは「土地と建物の組み合わせ」であり、土地には「場」の力があるということ。つまり、まちに必要なことが何でもできるのが不動産であるということ。そして、KSグループのミッションは、単に建物を新しくするということではなく、人々が暮らし集う「場」を再生・維持していくことだ、というメッセージです。
上記のお考えを前提に、私たちは「再生」というキーワードについて、グループ各社の社長やスタッフの皆様にヒアリングを重ねました。KSグループの各社は、新しい建物を企画し、建てるという不動産開発はもちろん、古民家を含む不動産の再生事業、マンション等の管理・修繕、賃貸管理、仲介など、不動産の事業全般を手掛けておられます。
その中で感じたことは「管理や修繕という仕事でさえも、クリエイティブだ」ということでした。KSグループ各社の建物管理・修繕は、単に建物を新しく修繕するという観点ではなく、現代のニーズ、住民のニーズ、周辺環境との関係性、そしてその「場」が持つ力を意識して行われていたためです。画一的につくりだした空間に人間を押し込めるのではなく、人間の視点にたち、最適な住環境、最適な商業環境とは何か?を考えられているのです。
このことから私たちは、不動産開発だけでなく、管理や修繕、売買、仲介といった事業すべてを包括した上で「場の、クリエイティブ再生」というブランドアイデンティティを提案させていただきました。
「場の、クリエイティブ再生」というブランドアイデンティティが完成し、それを表現するメインビジュアルの見え方は大きな課題になりました。 メインビジュアルは、同グループが実際に手掛けている不動産の建物の写真をベースに、1本1本線を引いて線画として仕上げていく、非常に地道な手法をとりました。単に写真を配置するだけでは、ただの建物の写真以上の想像が湧かないと感じたためです。
このビジュアル表現に行き着いたのは、会長の息子さんご夫婦のお力添えとセンスによるところが非常に大きかった結果となりました。ランドスケープデザインを専門に学ばれ、現在同グループで建物のデザイン、環境を意識した設計を行う息子さんと、テキスタイル等を扱うクリエイターである奥様です。
お二人、およびプロデューサーである株式会社つなぐの三田氏とのディスカッションの中で、どのようなメインビジュアルにするか?という深い議論を行いました。その中で、会長の息子さんがイメージパース等を制作されるときに素材とされていた、線画の樹木や動物のビジュアル素材を見せていただきました。
私たちはこの「線画で表現する」という手法は、非常にクリエイティブで、かつアーキテクトを感じさせるものだと思いました。そこで、この線画をベースとしたビジュアルによって「クリエイティブ再生」を表現した次第です。樹木、動物の素材は、実際の息子さんが作成された素材を使用させていただいております。
結果、線画1つ1つにはモーションをつけ、不動産の活動全般で、まちが形成されていくさまをイメージ的に表現しています。
企画・コンセプト設計/ブランディング企画
取材・分析/ブランドアイデンティティ開発
キャッチコピー開発/写真撮影/文章原稿作成
ウェブサイトデザイン/コーディング
事例掲載データベースシステム制作 ほか
プロデューサー/株式会社つなぐ 三田真之 氏