最近、クリストファーノーラン監督の映画が好きでして、結構、潜在意識とか、宇宙とか、時間とは何かとか、重力とか量子とか?ここ最近、とりあげられることが多いテーマが独特の世界観で描かれています。
映画「インセプション」の意識潜入
それで、過去作品をさかのぼって見ている中で、10年以上前の映画ですが、レオナルド・ディカプリオ主演、渡辺謙も出演している、「インセプション」という映画を見ました。
シンプルで深い。
とある技術を使って、人の「夢」に潜入する物語です。インセプションは「意識潜入」みたいな意味でしょうか。
インセプションでの「夢」はその人の潜在意識を投影したもの、ということになっていて、主人公は人の潜在意識に潜り込んで、情報を「抜き取る」スパイ、という設定です。
そして、抜き取ることができるほど、人の意識に深く潜入できるということは、情報を「植え付ける」こともできる。
この映画を見たあと、私たちが仕事上でお客様に対してお手伝いしていることに関して、改めて気をつけないといけないなと感じたことがあります。
潜在意識から大切な言葉を
私たちは、ブランディングの一貫として、例えばお客様の会社の「経営理念」(その事業を行う究極の目的)や、「ブランドアイデンティティ」(私たちは、どういう価値を持った者なのか)など、普段から整理しておかないと一言では言い表せないようなことを言葉にするお手伝いをさせていただいております。
その方法は、ほとんどが「質問」です。
質問をし、その答えに対してさらに質問し、、、
ということを繰り返すことで、ほとんど無意識で感じているような「お客様にとって、最も大切にしていること」 などがだんだん浮き彫りになっていく、というものです。
かんたんではないのですが、そこを探求するのは、事業を営む上ですごく重要だと感じています。
映画インセプションでは、特殊な方法で「夢」に「潜入」し、潜在意識にたどり着いていますが、私たちは、「質問」と答える方の「意思」によって、お客様の潜在意識を「引き出す」のが仕事です。
そうすると、何度か取り組みを重ねていくうちに、ある時、はっと、お客様自身が、大切にしている、外せないキーワードのようなものにたどり着く時がきます。
不思議なことに、このキーワードは、その「言葉だけ」を聞くと、わりと何の変哲もないような言葉だったりします。でも、お客様にとっては、そのキーワードをトリガーに、たくさんの概念、体験、記憶、想いなどが、一気に引き出されるのです。
だから、その概念、体験、記憶、想いが無い人がその言葉を聞いても、その言葉以上のイメージが湧くことはないでしょう。
潜在意識は、霧のようなもので、最初はつかみどころもなく、どこからどこまでが1つの実体なのかも分からず、あるような、ないような状態です。
でも、霧ももっと濃くなれば、雲のように形が認識できたり、雨のように触れることができたり、氷のように「手にとって置く」ことさえできるようになったりします。
私たちがお手伝いするのは、そんな曖昧な潜在意識を、手にとって、ハッキリ分かる状態にまで凝固させるようなものでしょうか。
ただし、より良く固まった意識というのは、氷のように冷たいものではなく、ものすごくホットでエネルギーに満ちたものですけどね。
潜在意識から大切な言葉を
私たちはお客様の意識に「潜入」しているわけではないですが、潜在意識の深い部分に触れることも、しばしばあります。
たどり着いたキーワードは、お客様にとってかけがえのない言葉になります。無意識に大切にしていたことが、意識できるようになる。とても充実感のある感覚です。
ただ、一方ですごく怖いところでもあります。
もし、映画インセプションのように、外部の人間が情報を「植え付ける」ということをしてしまったら?
意識の深い部分が出てきた時には、人は割と素直な状態になり、先入観なく物事を受け止めたりできるようになります。
この状態のときに、その人の想いとは異なる情報に誘導してしまったりすると、、、想像するだけで怖いですね。その人のアイデンティティが、その人でなくなってしまうかもしれない。
怖いと思いながら、実は世の中では近いことは結構起きているんだろうと思います。親から子へ、とか、先生から生徒へ、とか。
たぶん、この植え付けのことを「洗脳」と言うのではないでしょうか。もちろん全く悪気はなく、よかれと思っていても、相手に合っていない洗脳をしてしまっているケースは、きっと日常的にあるのだろうと思います。
ですので、弊社では、できるだけ私たちが答えを言わず、質問を繰り返して発言者から自然と言葉がでてくる状況をいかにつくるか?を徹底するようにしています。
そのくらい、潜在意識というのは、パワフルです。
逆にいうと、自分の潜在意識(ほぼ、無意識)が意識できるようになるというのは、大きなことだと思います。
クリストファー・ノーラン監督の映画、難解で意味不明という声も多いんですが(^^;
すごく、時代を表した映画が多いので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!
(大江 祐介)