アイデンティティブランディング

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「人は歌を聴くんだな」から思う、「仕事」の定義

20歳の頃から斉藤和義さん(ミュージシャン)のファンでして、斉藤さんがだいぶ前にインタビュー記事で答えていた言葉を、ふと思い出しました。

それは、「人は歌を聴くんだな」という言葉です。

多くの人はギターじゃなくて「歌」を聴いていた

斉藤和義は、自ら「歌うたいのバラッド」なんて歌をつくり、世の中では、実際、ギター弾きながら歌うたう人、みたいに思われているのだと思います。ですが、斉藤和義はもともとギター小僧であり、当初、自分はギタリストだと思い続けていたらしい。(今もかもしれないけど。)

今ではまさに「歌とギター」がメインの楽曲を何十年も展開していますが、もともとはギターテクニックをバリバリやるような音楽スタイルだったそうです。

ですが、栃木から東京に移り住み、音楽活動を続ける中で悟ったことが、

「人は歌を聴くんだな」

ということだったそう。

それは、逆にいうと「人はギターを聴くんじゃないんだな」ということです。もちろん、人によりますけどね。

そして歌を聴いていても、潜在的にはギターやベース、といった他の楽器や音楽的アレンジを聴いているわけですが。

私も個人的にやっているバンドでドラムを担当してますが、ドラムを聴かせようという欲求は全くなく・・・
「歌」とともに、バンドのサックス・ギター・ベース・・・というバンド全体のグルーヴ(音楽的なノリ、うねりのようなもの)を聴かせたいと思っています。

人間が生理的に着目するポイント

自分の好きなものから学ぶこと、というのは本当にたくさんありまして、この話は、自分の仕事のスタイルにも大いに参考になっています。

人は歌を聴く。ブランディング的に考えると、「人間が生理的に着目するポイント」というのには、原理原則がある、ということです。

糸井重里さんが、以前「ショートケーキのいちご」の話をされていた、と藤原から聞いたことがあります。これも本質的には同じ話です。
いちごというのは、単体でも強い魅力を持っていますが、ショートケーキに乗っていると、抜群の注目度を発揮するようです。(個人的には、いちごショートのいちご無しが好きですが。でも、結局いちごに焦点を合わせてケーキを認識してますね)

人の注目を集めるもの、記憶に残りやすいもの、というのが、原理原則として存在するのだと思います。

そして、それをある程度意図的に設計するのが、ブランディングの戦略ということになります。企業がロゴを作るのは、この注目ポイント、記憶ポイントなどの「記号」をつくるためです。

ということで、「人は歌を聴く」の法則、「ショートケーキのいちご」の法則を無視はできない、ということですね。

仕事とは、誰かにとっての価値を生み出すこと

ギタリストがギターの技巧に走るのは、仕事でいうと職人性や、技術者肌、みたいなところにあたります。何も悪いことではありません。実際、ギタリストの技術、職人の技術、技術者の技術、ほんとうにスゴイです。日本を支えています。

ですが、「誰かにとっての価値」となると、ちょっと話の角度が変わってくる。

人はなにかのプロになると、その仕事に詳しくなるにつれて「誰かにとっての価値」を、わりと見落としがちになります。仕事というのを、たとえば「価値を提供して、対価をもらうこと」と考えるなら、単に技術が優れている、知識が多い・・・だけでは仕事とは言えないことになるでしょう。

斉藤さんにとって、音楽は生き様だと思うけど、同時に「仕事」でもあります。人は歌を聴く、というのは、価値を生み出すという観点でいうと、大きな気付きだったのだろうなと感じます。

ミュージシャンたちの中には、そもそも「売れちゃいけない」に近い考え方もあるので、あくまでこの話は「仕事」という意味では、ですけどね。

斉藤さんも、アルバムの中には、どこからどう聴いても、単純には売れそうにない曲がたくさん入ってます。バカにすんなよ、とか・・・(! 大変申し訳ございません)
でも、そんな曲も好きになってしまうのがファン化の凄さ。(バカにすんなよ、大好き)

私たち、それぞれの仕事で、人の記憶に残りやすいポイントは何か。

そしてそのポイントは、時が流れても陳腐化しない、普遍的なものか・・・10年先、20年先を考えると、とても重要なことだなと思います。

  (大江 祐介)

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